Q(62) 私は今、卒業論文に向けて「銀河鉄道の夜」を研究している者です。ふと疑問に思ったのですが、「銀河鉄道の夜」の中で唯一史実として書かれているのがタイタニック号の遭難事件ですが、このタイタニックと賢治との接点は一体どこにあるのでしょうか??この事件と賢治を結びつけた何かが存在するのでしょうか??誰か教えて下さい。(チコリータさんより)

Q(63) 私は、「銀河鉄道の夜」をテーマに卒論を書こうと思ってる、大学3回生です。
最近読み直してみて気になったことは、賢治とタイタニック号遭難事件の関係です。 黒服の青年と姉弟が列車に乗り込んでくるシーンで、彼らはタイタニックに乗ってい たという設定で描かれていますが、賢治はどうしてこの事件に引かれて、この物語で 唯一の実在の事柄を物語として書き添えたのでしょうか? やはり賢治がキリスト教と深く関連してるから、ただ単に挿話にしただけなのでしょ うか?
私は、キリスト教心だけが賢治の心を引き付けているとは考えられない。 具体的には論じることは出来ないけど、賢治が物語の中に取り入れるくらいだから、 もっと特別な思い入れがあると思います。
誰か、賢治とタイタニックの接点に詳しく研究しておられる方はいないのでしょうか ?
よろしかったら、お返事下さい。(おおたさよこ)

A
Date: Sat, 19 Jul 2003   斉藤朗純さん

Date: Tue, 16 May 2000   やすおさん

Date: Tue, 1 Feb 2000   Tug−Boatさん

Date: Fri, 28 Jan 2000   タグボートさん


Date: Sat, 19 Jul 2003
   斉藤朗純

 銀河鉄道はなぜ鉄道でなくてはならないのでしょうか。その答えは死には尊い死とそうでもない死があって、その度合いに応じて遠くの駅に行けるのだ、と賢治は設定しているのではと思います。としの死は自己犠牲の尊い死であったし、カンパネルラがザネリという嫌な奴のために死んだのは愛するものを助けるのより尊い死なのです。タイタニックの死も、自己犠牲による尊い死なのです。ですからそれはずっと遠くまで行った人たちです。銀河鉄道に乗ってくる人々は、皆死者なのです。ではジョバンニは?彼の切符は最も遠くまでいける切符でした。最も遠くとは、現在いるところなのです。彼は自己の使命をこの世に生きて、人々のために自己を犠牲にして死ぬことと考えたのではないでしょうか。
 こんなに時間がたってレスしてスミマセン。


Date: Tue, 16 May 2000
   やすお

いつかTVで「銀河鉄道の夜」は法華経の教えが書かれたものだと言っていたと記憶しています。仏教では精神のレベルを「仏、菩薩、縁覚、声聞、天、人、修羅、畜生、餓鬼、地獄」に分けて考えますが(十界論)、列車はこれらの境涯を順に下から上に向かって行く旅をしていると考えることはできないでしょうか。上から2番目の菩薩界は自分の命を犠牲にしてでも困っている人を助けるという境涯ですので、キリスト教の愛や奉仕の精神がこれに相当すると賢治は考えたのではないでしょうか。遭難の現場は地獄そのものでしたでしょうが、人の命の尽きる時に行われたであろう最後の善行を思い、この事件を自分の本の中に留める決意をしたのだと思います。


Date: Tue, 1 Feb 2000
   Tug−Boat

追加します 普通の人だからこそ出来る事だと思います 自分の心と葛藤しながら行う行為です 遺伝子で自分を残すか行いで自分の形跡を残すか両方とも選ばないか 自分で選んだ道だったと思います 私の家内もタイタニックの話をフィクションと考えていたようです 賢治の話には身の周りで起きた事件から啓発されたことが多いのです


Date: Fri, 28 Jan 2000
   タグボート

タイタニック号の遭難は1912年4月賢治16歳のときに起きた事件 です 世界中にこの遭難は報道され映画の中に出てくるエピソードは 世界中に知れ渡りました 中学生の賢治はどう感じたのでしょうか できるだけ沢山の人達を避難させようと機関を沈没しても動かした 機関部の部員さん達 彼らは釜からの火と熱湯を浴びせられ死んで逝きました 楽隊の人達は皆を送り出し船で死んで行きました  賢治さんはタイタニックに乗船した人たちと同時代に生きた人です 普通の人達がここまで他の人たちへ尽くすことができるでしょうか


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