雪がすっかり凍って大理石よりも堅くなり、空も冷たい滑らかな青い石の板で出来てゐるらしいのです。
ちくま文庫「宮沢賢治全集 第8巻『雪渡り』P.125」

 雪はあんまりまばゆくて燃えてゐるくらゐ小十郎は眼がすっかり紫の眼鏡をかけたやうな気がして登って行った。
ちくま文庫「宮沢賢治全集 第7巻『なめとこ山の熊』P.68」

 雪童子はわらつて革むちを一つひゆうと鳴らしました。すると、雲もなく研きあげられたやうな群青の空から、まつ白な雪が、さぎの毛のやうに、いちめんに落ちてきました。
ちくま文庫「宮沢賢治全集 第8巻『水仙月の四日』P.63」