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真砂さんが宮沢賢治に惹かれるようになったのは、どんなきっかけですか?
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小学校の教科書に出てきたものでは「雨ニモ負ケズ」くらいで、中学時代には文学全集をかなり読んだりしているので賢治も読んでいるはずだけれど、あまり印象に残っていません。
身近に感じるようになったのは、大人になってからです。ファッション・デザイナーになりたくてファッション業界で仕事を始めたのだけれど、思うようなことができないまま、仕事に追い回される状態が続き、だんだん疲れてしまったんです。そういう時期に夫と出会って結婚し、子供ができてから、食や衣に対する感覚がすっかり変わってしまいました。それまで知らず知らずのうちに自分がヨーロッパ人のような感覚でいたんですが、ベジタリアンになり、着るものもファスナーのついたものはダメで紐にするとか、自分で選びとるものがそれまでとまったく違ってしまったんです。そういう変化が起きてから、賢治の作品が身近なものになったんです。何度も読むのは主に「銀河鉄道の夜」ですけれど。
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結婚とお子さんができてからのそうした感覚の大きな変化が、その後、真砂さんのAfaの自然な素材を生かしたシンプルなテザインの服に結実した訳ですね?
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そうです。
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真砂さんのAfaの今年のテーマは"Amazing Blue"で、藍を基調にした服づくりと同時にご主人の真砂秀明さんの笛+ウォンさんのピアノのCDのプロデュースをなさっていますが、"Amazing Blue"と「銀河鉄道の夜」は真砂さんの中でつながっているんですか?
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CDの録音のための4日間はとても密度の高い時間でした。夫もウォンさんも瞑想をするんですが、そういう宇宙とチューニングしようとする意識どうしが即興的な演奏でチューニングしあって、これだという感じになったところが録音されています。「銀河鉄道の夜」の中に流れている宇宙的な時間や感覚もこれとほとんど同じものではないかと思っています。「銀河鉄道の夜」の基調になっている色はもちろんブルーですよね。
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