虔十公園林

 全く全くこの公園林の杉の黒い立派な緑、さはやかな匂、夏のすゞしい陰、月光色の芝生がこれから何千人の人たちに本当のさいはひが何だかを教へるか数へられませんでした。
 そして林は虔十の居た時の通り雨が降ってはすき透る冷たい雫をみじかい草にポタリポタリと落としお日さまが輝いては新しい奇麗な空気をさはやかにはき出すのでした。
ちくま文庫「宮沢賢治全集 第6巻『虔十公園林』P.412」


 虔十公園林は「ほんとうのさいわい」が何だかを教えてくれる場として存在している。 ほんとうのさいわい