そんなら何がその川の水にあたるかと云ひますと、それは真空といふ光をある速さで伝へるもので、太陽や地球もやっぱりそのなかに浮かんでゐるのです。つまりは私どもも天の川の水のなかに棲んでゐるわけです。そしてその天の川の水のなかから四方を見ると、ちゃうど水が深いほど青く見えるやうに、天の川の底の深く遠いところほど星がたくさん集まって見えしたがって白くぼんやり見えるのです。 |
ちくま文庫「宮沢賢治全集 第7巻『銀河鉄道の夜』P.236」 |
そのきれいな水は、ガラスよりも水素よりもすきとほって、ときどき眼の加減か、ちらちら紫いろのこまかな波をたてたり、虹のやうにぎらっと光ったりしながら、声もなくどんどん流れて行き、 |
ちくま文庫「宮沢賢治全集 第7巻『銀河鉄道の夜』P.251」 |
そらがあんまりよく晴れてもう天の川は、すっかりすきとほって冷たく、底のすなごも数へられるやう、またじっと眼をつぶってゐると、その流れの音さへも聞えるやうな気がしました。 |
ちくま文庫「宮沢賢治全集 第5巻『二十六夜』P.453」 |
天の川と重ね合わせてみているものは? | →北上川 |