Q (253) こんにちは。初めて投稿致します。
「銀河鉄道の夜」のモデル(モチーフ)について質問なので すが、「亡き妹トシ」という説と「高校時代の学友河本緑水」 だという説を聞いたのですが、どちらが有力なのでしょうか? どなたかご存知でしたら教えて下さい。(宮古)

A
Date: Tue, 25 May 2004  shunさん

Date: Fri, 21 May 2004  世留守万さん

Date: Thu, 20 May 2004  フラドのガコブタさん


Date: Tue, 25 May 2004
  shun

別説ですが、このような見方も。
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イタリアの少年小説「クオレ」(デ・アミーチス作、1886)には、 アルバイトをする貧しい少年の話、 級長への秘かな友情、難破船からボートへ乗り移る最後の機会を道連れの少女に譲る少年の話、 米国へ出稼ぎに行っていたと言うが実は監獄へ入っていた父を持つ少年の話、 川で溺れかかった友を死を賭して救った少年の話・・ など、「銀河鉄道の夜」を連想させる挿話が少なくない。
イタリア風の人物名といい、賢治の発想に「クオレ」の影を読むことは的外れではあるまい。
 天沢退二郎
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(別冊太陽「宮澤賢治 銀河鉄道の夜」より)


Date: Fri, 21 May 2004
  世留守万

(1)妹とし説は古典的説で、(2)河本緑水説は新説?かと。(3)親友保坂かない説もあるんですよ。これも大変有力です。「春と修羅」から検証すると(1)、手紙やエピソードなのから推理・検証すると(3)。(2)はカンパネルラが溺死したことから(2)をおす人もいます。河本さんは学校の先生で、溺れた生徒を救おうとして亡くなったそうです。賢治さんが亡くなる年の夏だそうです。それで最後に加筆されたとも推測出来ます。
きっとこれらすべてが「銀河鉄道の夜」ではないでしょうか。
だって執筆に10年の歳月がかかり、なお未完の大作ですからね。


Date: Thu, 20 May 2004
  フラドのガコブタ

「銀河鉄道の夜」の発想や主題に、妹のトシの死があることはひろく認められていますが、親友との訣別という点では、高農時代の親友で同人誌「あざりあ」の仲間だった保阪嘉内のことも併せて考えられるでしょう。
やはり高農時代の親友で、やはり同人誌の仲間でもあった河本義行(緑石)は、郷里の農学校に奉職中、溺れるものを救けようとして、自分が亡くなってしまう(1933.7.18)点でカムパネルラと通じるところがありますが、これは賢治の死ぬほんの2ヶ月ばかり前です。一方「銀河鉄道の夜」のカムパネルラの死が書かれている部分(黒インキ手入れ部分)は、どうやら1930〜31年ごろに書かれたようなので、直接の関係はないと見られています。


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