Q(6)はじめてこのページにつなげたのに、なんだかほっとして泣いてしまいました。私はよだかの星が好きです。よだかのようにたくさん泣いてもう上も下もわからなくなったら、私のような者でも楽になるのでしょうか。 あと昨年岩手放送さんでしたか、幻想の(?)宮沢賢治というアニメーションをつくってらしたのをみました。大変良かったですね。ビデオなどでていないでしょうか、どなたかご存知でしたら教えて下さい。(中島 由起子さんより)
A
賢治の傑作と言われる晩期の作品はもちろん感動しますが、 「よだかの星」も好きな作品の一つです。(初期の作品と思われます) 世の中にはよだかのように虐げられ、反抗もできない、 弱い心の人が必ずいるものです。 決して自分の弱さに甘えてはいけないかとは思うものの、 どうにも致し方のないときは仕方がありませんね。 この作品は、人生の奈落を覗いた人でないと十分に共感 できないようで、中には「小乗仏教的お説教だ」という 的外れの批評をする人もいます。 よだかのように「燐の火のような青い美しい」星になる かどうかは、自分なりに懸命になれるかどうかにかかる でしょう。
中島さんがお尋ねの「イーハトーブ幻想/Kenjiの春」ですが、今売りの「キネマ旬報」5月下旬号228頁に紹介があります。バンダイビジュアルの販売でビデオは4/25、LDは5/25にいずれも税抜き7000円でリリースとなっています。蛇足ながら、「Kenjiの春」は、昨年発表された賢治物としては、伝記の正確さといい作品論の充実といい幻想の描写といい、最もすばらしい作品だったとおもいます。ただ、人物描写という面ではアニメよりも血の通った人間の演技による細やかな人物描写のほうに惹かれます。そういう意味ではNHK「銀河の旅人」の中村梅雀が賢治の天才と孤独を演じて凄いとおもいましたし、松竹「宮沢賢治−その愛」の酒井美紀が演じたトシの上品でおだやかで凛とした存在感が、<無声慟哭>に詠われたトシの悲傷さに重ねられるただ一人の存在として心に残っています。 |