岩手山

 せいせいと東北東の風がふいて イーハトーヴの死火山は
 斧劈の皺を示してかすみ 禾草がいちめんぎらぎらひかる
ちくま文庫「宮沢賢治全集 第1巻『遠足統率』P.491」

 そらの散乱反射のなかに 古ぼけて黒くゑぐるもの
 ひかりの微塵系列の底に かたなくしろく澱むもの
ちくま文庫「宮沢賢治全集 第1巻『岩手山』P.113」

 すると俄に頭の上で、
 「いやいや、それはならん。」といふはつきりした厳かな声がしました。
 見るとそれは、銀の冠をかぶった岩手山でした。盗森の黒い男は、頭をかゝへて地に倒れました。
ちくま文庫「宮沢賢治全集 第8巻『狼森と笊森、盗森』P.38」


 岩手山の下では、いろいろな性格を持つ森が存在する。