うろこ雲

 うろこぐもはみんな、もう月のひかりがはらわたの底までもしみとほつてよろよろするといふふうでした。その雲のすきまからときどき冷たい星がぴつかりぴつかり顔をだしました。
ちくま文庫「宮沢賢治全集 第8巻『月夜のでんしんばしら』P.101」

 空がきらきらの白いうろこ雲で一杯でした。茨には青い実がたくさんつき、萱はもうそろそろ穂を出しかけてゐました。
ちくま文庫「宮沢賢治全集 第5巻『茨海小学校』P.414」