それに「風の又三郎」で子供たちが遊びに行き、嘉助が霧の中で気を失う上の原(種山ケ原)もすぐ近くにある。(「風の又三郎」の中では種山ケ原という地名は出てこないが、物語のこの部分はもともと「種山ケ原」という題名で書かれたものが原型になっている。)また、高田三郎が転校してきたのは、お父さんがモリブデンの鉱石を調べに来たからだということになっているが、林由紀夫さんによると、賢治は種山ケ原の近くでモリブデンを見つけているのだという。しかし、賢治の時代には、あいにく人首には小学校がなかったようだ。 「空では雲がけはしい灰色に光りどんどんどんどん北の方へ吹きとばされてゐました。遠くの方の林はまるで海が荒れてゐるやうにごとんごとんと鳴ったりざっと聞えたりするのでした。一郎は顔いっぱいに冷たい雨の粒を投げつけられ風に着物をもって行かれさうになりながらだまってその音をきヽすましじっと空を見上げました。 木細工中学校跡地(「風の又三郎」の映画のロケが行われた所) |
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