イーハトーヴォの四季

 岩手県は北緯39゜42´で東京(北緯35゜41´)よりかなり北に位置するため、当然、冬は寒く、夏は涼しい。東京では、その日の最高気温が30℃以上になる真夏日が年間平均45日あるが、岩手県の盛岡では、18日しかない(国立天文台編「理科年表」1997年)。この夏のさわやかさが賢治の作品世界の透明さと深い関わりをもつ。反面、夏に暑い日が少ないということは冷害がおきやすいということでもある。これも賢治の作品の大きな主題のひとつになっている。
 岩手県は、植生でいうと落葉広葉樹林が中心になっている。落葉広葉樹の森には、秋になるとクルミ・クリ・トチ・ナラといった木の実がたくさんなる。こうした落葉広葉樹林の木の実は、西日本を中心とする照葉樹林の木の実より食糧としてすぐれている。これが東北に豊かな縄文文化が生まれた背景のひとつらしい。ドングリやクリ、トチ餅などは賢治の作品の中でも重要な役割を果たしている。
 岩手県の冬は寒さが厳しい。その日の最高気温が0℃未満の真冬日が盛岡では年間平均19日もある(東京は0日)。1月には雪の降る日が26日もある。

・春 「イーハトーボ農学校の春」
・さわやかな夏 「ポラーノの広場」
・寒さの夏 「グスコーブドリの伝記」
・秋 「風の又三郎」
「どんぐりと山猫」
・冬 「氷河鼠の毛皮」
・気象の急変 「種山が原」

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