嘉十はにはかに耳がきいんと鳴りました。そしてがたがたふるへました。鹿どもの風にゆれる草穂のやうな気もちが、波になつて伝はつて来たのでした。 |
ちくま文庫「宮沢賢治全集 第8巻『鹿踊りのはじまり』P.113」 |
あたりが俄にきいんとなり、 (風だよ、草の穂だよ。ごうごうごうごう。) こんな語が私の頭の中で鳴りました。まっくらでした。まっくらで少しうす赤かったのです。 |
ちくま文庫「宮沢賢治全集 第6巻『インドラの網』P.143」 |
鹿どもの風にゆれる草穂のような気もちが伝わってきた嘉十。では、鹿の気もちとは? | →鹿/鹿踊り・剣舞 |