そこに碧い寂かな湖水の面をのぞみ あまりにもそのたひらかさとかがやきと 未知な全反射の方法と |
ちくま文庫「宮沢賢治全集 第1巻『青森挽歌』P.183」 |
海面は朝の炭酸のためにすつかり錆びた 緑青のとこもあれば藍銅鉱のとこもある むかふの波のちゞれたあたりはずゐぶんひどい瑠璃液だ |
ちくま文庫「宮沢賢治全集 第1巻『オホーツク挽歌』P.189」 |
わびしい草穂やひかりものや 緑青は水平線までうららかに延び 雲の累帯構造のつぎ目から 一きれのぞく天の青 強くもわたくしの胸は刺されてゐる それらの二つの青いいろは どちらもとし子のもつてゐた特性だ わたくしが樺太のひとのない海岸を ひとり歩いたり疲れて睡つたりしてゐるとき とし子はあの青いところのはてにゐて なにをしてゐるのかわからない |
ちくま文庫「宮沢賢治全集 第1巻『オホーツク挽歌』P.192」 |
そのきれいな水は、ガラスよりも水素よりもすき とほって、ときどき眼の加減か、ちらちら紫いろ のこまかな波をたてたり、虹のやうにぎらぎらと 光ったりしながら、声もなくどんどん流れて行き、 |
ちくま文庫「宮沢賢治全集 第7巻『銀河鉄道の夜』P.251」 |
河原の礫は、みんなすきとほって、たしかに水晶や黄玉や、またくしゃくしゃの皺曲をあらはしたのや、また綾から霧のやうな青白い光を出す鋼玉やらでした。 |
ちくま文庫「宮沢賢治全集 第7巻『銀河鉄道の夜』P.256」 |
野原も丘もほつとしたやうになつて、雪は青じろくひかりました。空もいつかすつかり晴れて、桔梗いろの天球には、いちめんの星座がまたたきました。 |
ちくま文庫「宮沢賢治全集 第8巻『水仙月の四日』P.69」 |
その冷たい桔梗色の底光りする空間を一人の天が翔けてゐるのを私は見ました。 |
ちくま文庫「宮沢賢治全集 第6巻『インドラの網』P.144」 |
樺太には「すきとおった風」が舞っている。 | →すきとおった風 |
とし子の青はさらに「孔雀」の青(天界?)と突き進んでいく | →孔 雀 |
銀河の世界はきらきらかがやいた青の世界のようだ。 | →天の川/銀河の河原 |