そのとき、風がどうと吹いてきて、草はいちめん波だち、別当は、急にていねいなおじぎをしました。 一郎はをかしいとおもつて、ふりかへつて見ますと、そこに山猫が、黄いろな陣羽織のやうなものを着て、緑いろの眼をまん円にして立つてゐました。 |
ちくま文庫「宮沢賢治全集 第8巻『どんぐりと山猫』P.22」 |
風がどうと吹いてきて、草はざわざわ、木の葉はかさかさ、木はごとんごとんと鳴りました。
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ちくま文庫「宮沢賢治全集 第8巻『注文の多い料理店』P.41」 |
そのとき風がどうと吹いて来て教室のガラス戸はみんながたがた鳴り、学校のうしろの山の萱や栗の木はみんな変に青じろくなってゆれ、教室のなかのこどもは何だかにやっとわらってすこしうごいたやうでした。すると嘉助はすぐ叫びました。 「あゝわかったあいつは風の又三郎だぞ。」 |
ちくま文庫「宮沢賢治全集 第7巻『風の又三郎』P.302」 |
風がどうと吹くと、どうやら自然の主が登場するらしい | →山猫と別当/又三郎 /山男 |
「風」と一言で言ってもいろいろな性格をもっている。では「風がどうと吹く」の他にどんなものがあるのか? | →すきとおった風 /風のきれぎれの物語 |