メソリンガムモデルとその周辺---松井メモ(4)
メソリンガムモデル及び負の二項分布モデルにおけるパラメーターの条件及
び平均視聴率、平均重複視聴率の間の制約
1.メソリンガムモデルの場合
モデルのベースとなっているβ分布のパラメーターl, mについてl>0, m>0という条件が課されている。(これはβ関数B(l ,m)の収束条件に他ならない。)フリークエンシーディストリビューションf(k)を求める時の積分はlがl+kになり、mがになるだけであるから収束の条件は常に満たされている。
以上によってパラメーターl, mに課せられる条件は
(1)
(2)
の二式で表わされる。これに加えて、は平均視聴率であるから常に
(3)
をみたしていることを考慮すれば、(1),(2)より
(4)
が導かれることは明らかである。
2.負の二項分布モデルの場合
モデルのベースとなっているΓ分布のパラメーターα,βについて
α>0, β>0という条件が課されている。
フリークエンシーディストリビューションを求める時の積分はαがα
+kになり、βがβ+1に変わるだけであるから収束の条件は満たされて
いる。
従ってパラメーターに課される条件は
(5)
(6)
の二式である。またQ1は常に正であるからQ1及びQ2の間に
(7)
という関係が与えられれば、必要十分なことは明らか。
これをN, , に書き直せば、
(8)
(8)式が負の二項分布モデルが成立するための必要条件であるが、重複視聴率の実体的な意味から考えて
(9)
という条件が課させることは当然であるから
(10)
によってに制約を加えておくことが妥当であろう。
3.が条件式の下限に近づく時の極限分布
i) メソリンガムモデルの場合
視聴確率Pの分布β(p)の平均及び分散は、
ここでを一定としておいて→ とすればβ(p)は一点に集中す
る。(分散が0になる。)
従って、視聴確率の視聴者のみが存在することになり、視聴回数の
分布は当然二項分布に収束する。
(これは、f(k)の極限から直接確かめることも可能)
ii) 負の二項分布モデルの場合
延視聴確率の意味でのGRPの分布γ(g)の平均と分散は、
従ってn, を固定してとする場合、この分布は分散が0に収束し、一点n に集中してしまう。したがって視聴回数の分布は当然ポアッソン分布に収束する。(これもf(k)の極限から直接確かめることができる。)